
SOMALI
食器洗いの基本と台所洗剤は何をしているのか?
あわあわ便り 2023年9月号
先日、洗剤不要の食器を買ってみたんです。
食器用洗剤やスポンジを使わなくても洗うことができるお皿です。
特殊な加工技術でお皿と汚れの間に水が入り込むようになってて、汚れが水だけで流れ落ちる仕組みらしいです。
開発元の会社によると、このお皿を使うと節水にもなるし、家事の負担軽減になるとのことです。実際に使ってみると、確かに水で流して少し手で擦るぐらいで大体の汚れが落ちます。
ただ、あまり長い時間放置していると取れにくくなるようで、食べ終わったら直ぐに水で濯いでやるのが良いとのことです。
さっと汚れが取れるのはなかなか気持ち良いです。確かに楽ちんかもしれないですね。
ただ、少し気になるのは、このお皿の汚れはそのまま排水溝に流れていってしまうということです。油汚れも洗剤を使わずに水でお皿から引き剥がしてしまうので、汚れがそのまま排水に行ってしまうわけです。これは大丈夫なんだろうかと少し心配になりました。
食器洗い用の台所洗剤は単に汚れをお皿から引き剥がしてるだけではありません。
一般的な台所洗剤には何かしら界面活性剤が配合されていますが、この界面活性剤のはたらきの一つとして油(汚れ)を乳化させる作用があります。
水と油を同じボトルに入れたら、普通は分離しますよね。ちなみにこの水と油の分離する境を「界面」と呼びます。この「界面」を無くして水と油が混じった状態にすることを「乳化」と言います。この「界面」を活性化させて「乳化」させるので「界面活性剤」なんて呼ばれてるわけです。
なので、決して「界面活性剤」が悪いものなわけではありません。むしろ「界面活性剤」は洗剤だけではなく、ボディソープやシャンプー、化粧品類から食品まで、私たちの身の回りのかなり幅広い領域で無くてはならないものとして活躍しています。
台所洗剤はお皿についた油汚れを乳化させることで汚れを引き離しやすくしています。
そして油が水の中に分散した状態を保つようにしてるんです。つまり油を油のままで洗い流してるわけじゃないんですね。
勿論、洗剤を使ってても、油汚れとかをそのまま洗剤で洗い流すのはあんまり良くはないです。
基本は、まずキッチンペーパーなどで大まかに汚れを拭き取っておくことが大事です。
そう。汚れはまず排水にそのまま流す、下水にそのまま流すのではなく、取れるものは拭き取りなどで取っておいて、それでも取れないものを洗剤で洗い流したほうが良いんです。
そうしたほうが排水溝も汚れず、下水処理にも負担は小さいわけです。
先の洗剤の要らないお皿は、予備洗いなどは要らない、水で洗い流すだけでOKと謳っていて、それが洗剤を使わない、水の使用量も少なくなるのでエコ(節水)だと説明しています。
ただ、正直いくら水だけで簡単に洗い流せたとしても、やはり油汚れは拭き取りなどの予備洗いをやったほうが良いと思います。じゃないと、排水溝とかすぐ油で詰まってしまいそうです。油汚れとかがそのまま下水に流れていったら、それこそ洗剤使ってる、使ってないのレベルではなく、下水処理の負担は上がるんじゃないかと思ったんですね。家庭においても見えない排水管などの汚れが蓄積されると配管が傷んで悪臭を放ちますし、掃除もとてもしにくいんです。
お皿の思想とか発想とかは凄いなと思うし、確かに便利なんですね。発想してそれを実際のモノに実装するところまで成し遂げるのは、物凄く大変なことなので、このお皿を実現させたというのはめちゃくちゃ凄いことだと思ってます。
なのでお皿をディスってるわけではもちろんないのですが、洗剤を使わないから必ずしもそれがエコかというと、そうでもないかもなとも思うんですね。(僕らが洗剤メーカーだからそういうことを言ってるというわけでもなく)少なくとも汚れをできる限り排水に流さない工夫としての予備洗いなどをしっかりするほうが、くらしにも環境にもやさしいかなと思っています。
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