
くらしの豆知識
「界面活性剤」について
界面活性剤という言葉は見たり聞いたりしたことがあると思いますが、界面活性剤にはたくさんの種類があり、私たちの生活に欠かせないものになっていることをご存知でしょうか?界面活性剤は洗浄作用、殺菌・除菌作用、乳化作用など幅広い性能を持っており、私たちの身の回りにある多くの商品に使用されています。
界面活性剤という言葉は見たり聞いたりしたことがあると思いますが、界面活性剤にはたくさんの種類があり、私たちの生活に欠かせないものになっていることをご存知でしょうか?
界面活性剤は洗浄作用、殺菌・除菌作用、乳化作用など幅広い性能を持っており、私たちの身の回りにある多くの商品に使用されています。
今回は洗剤、シャンプー・リンス、化粧品、医薬部外品、食品など幅広く用いられている界面活性剤について少し触れてみたいと思います。
界面活性剤は大きく分類すると4種類に分けることが出来ます。アニオン(陰イオン)界面活性剤、ノニオン(非イオン)界面活性剤、カチオン(陽イオン)界面活性剤、両性イオン界面活性剤の4種類です。
- 洗浄を目的としたもの:アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤
- 衣類の柔軟を目的としたもの:カチオン界面活性剤
- 殺菌
- 除菌を目的としたもの:カチオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤
と、用途や目的に応じて選定される界面活性剤は異なり、適切な組み合わせで処方されます。
以前、ご紹介させて頂いた「家庭用品品質表示法」では純石けん分と純石けん分以外の界面活性剤という分類でも区別されています。
- 純石けん分:脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム
- 純石けん分以外の界面活性剤:上記以外の界面活性剤。これらは界面活性剤の性質が全く
これらは界面活性剤の性質が全く異なるものであり、主たる洗浄作用が純石けん分の界面活性作用によるもの、或いは主たる洗浄作用が純石けん分以外の界面活性剤作用によるものかで分類される品目が異なります。
○主たる洗浄作用が純石けん分の界面活性作用によるもの(品目:洗濯用又は台所用の石けん)
洗濯用に供されるものであって、純石けん分以外の界面活性剤を含有しないものは「洗濯用石けん」、含有するものは「洗濯用複合石けん」、台所用に供されるものであって、純石けん分以外の界面活性剤を含有しないものは「台所用石けん」、含有するものは「台所用複合石けん」と表示します。
(洗濯用の石けんについては、純石けん分の含有重量が界面活性剤の総含有重量の70%以上のものに限り、台所用の石けんについては60%以上のものに限る。)
○主たる洗浄作用が純石けん分以外の界面活性作用によるもの(品目:合成洗剤)
洗濯用に供されるものは「洗濯用合成洗剤」、台所用に供されるものは「台所用合成洗剤」と表示します。(洗濯用は純石けん分以外の界面活性剤が界面活性剤の総含有重量の30%を超えるものに限り、台所用は40%を超えるものに限る。)
上記のように純石けん分と純石けん分以外の界面活性剤のどちらが主たる洗浄作用になっているかで、「石けん」と「合成洗剤」のどちらに分類されるかが決定されます。
純石けん分と純石けん分以外の界面活性剤が区別される理由としては、純石けん分の特徴的な性質にあります。
○純石けん分(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)の性質
石けんは動植物油脂にアルカリ成分を反応させて鹸化させたもので、生分解が早く、多量の水で希釈されると界面活性作用を失う性質を持っています。そのため、肌に優しく、水生生物に対する影響が少ない界面活性剤として知られています。
○純石けん分以外の界面活性剤の性質
純石けん分以外の界面活性剤の多くは合成界面活性剤と呼ばれるものです。合成界面活性剤は石油あるいは植物を原料として化学合成されたものです。洗浄力が強く、洗剤に多く使用されていますが、多量の水で希釈されても界面活性作用を失わない性質を持っており、肌に対する影響や水生生物に対する影響が懸念されています。しかし、最近では肌に優しいものや生分解性の高いものも増えてきています。
※一部、天然界面活性剤と呼ばれるものがあります。天然界面活性剤は植物や大豆などから抽出された成分で、化学的な合成がされていない天然の界面活性剤です。洗浄力はマイルドで洗剤に用いられることは稀です。
石けんは多量の水で希釈されると界面活性作用を失うという他の界面活性剤にない性質を持っており、これが他の界面活性剤と区別される大きな理由です。この性質を持っているため、人体や環境に優しく、様々な商品に純石けん分が用いられています。
最近は純石けん分以外の界面活性剤も人体や環境に対して優しいものが多く開発されており、用途や目的によって使い分けられ、最適な処方組みがされています。